なぜ夜職の女性は「同じような整形顔」になるの？

ーなぜ夜職の女性は「同じような整形顔」になるんですか？

カワノアユミさん（以下カワノ）：

確かに、ああいう系統の顔は夜の世界では多いですね。でも、それには理由があります。まず単純に、お客さんが整形顔を好きなんですよ。

あの顔だと「ちゃんとお金をかけている＝プロっぽい」という、ある種のステイタスのように受け取る男性も多いんです。

ー実際、そういう顔にすると指名は増えるんですか？

カワノ：増えますね。もちろん全員ではないですが、いわゆる“ギャルっぽい見た目”が好きな男性は多いです。

キャバクラの接客のノリ自体がちょっとギャルっぽいところもあるので、自然とその雰囲気に合う顔が好まれます。逆に、落ち着いた女性が好きな男性は最初から銀座に行きます（笑）。

ーなぜ、同じような顔に整形するんですか？

カワノ：もっとも大きいのは “集団心理” ですね。学生の頃って「みんなと同じじゃないと仲間外れになりそう」という感覚があったじゃないですか。

あれと同じ。歌舞伎町や六本木にはそれぞれの「売れる顔の系統」があって、そこで働くと“その顔にならないと売れない”みたいな雰囲気が自然と生まれるんです。

ー夜職の子が整形でやたら顎を尖らせたがる心理とは？

カワノ：顎を尖らせると輪郭がシャープになって小顔効果が出るんです。目や唇も際立ち、顔全体が華やかに見える。

また、男性客の好みに合うことや、写真・SNS映えすることも理由の一つ。単なる流行ではなく、仕事上の戦略としての整形ですね。

ーだから似たような“夜職顔”が増えていくわけですね。

カワノ：そうですね。お客さんの好みと、キャスト同士の集団心理の両方が重なって、結果的にみんな同じ方向の顔になっていくんだと思います。

整形の流行や夜職のリアル事情

ー整形の流行って、時代によって変わるんですか？

カワノ：世間一般に比べると、夜職の整形の流行はそこまで変わらない気がします。昔から、明日香キララさん系の顔は人気ですよね。

強いて言えば、昔より今は童顔のほうが好まれるくらいでしょうか。鼻も平成時代は矢印鼻が流行りましたが、今は小さめで自然な「忘れ鼻」が人気ですね。

ー逆に、整形しないまま働く女性はどれくらいいるんですか？

カワノ：あまりいないと思います。そもそも、本当に美人な人で夜職に来る子は少数派です。地方で夜働きながらお金を貯めて整形して、歌舞伎町や六本木に進出してくる子が多いです。

あと、歌舞伎町も六本木も店によって女の子の系統がある程度決まっています。だから、キャバやラウンジの看板が皆同じに見えるのは、この現象が原因ですね。

ーお店から整形を勧められることはあるんですか？

カワノ：店から積極的に勧められることはありません。でも、「うちの系統と違う」という理由で不採用になることはあります。

また、店側としてはダウンタイムで長く休まれるのは困るので、がっつり整形する場合は一時休暇という形をとらせることもあります。ただ、売れっ子には多少の融通は利くようです。

ー整形をしたことで性格や接客に変化はありますか？

カワノ：ありますね。顔を整えることで自信がつくと、接客のノリも堂々としてきます。声のトーンや笑顔も自然に出せるようになって結果として指名が増えることも多いです。

でも、それ以上に大事なのは、整形だけでなく会話や雰囲気とのバランス。顔だけで勝負するのは難しいですね。

ー売れているキャストの共通点は顔以外にありますか？

カワノ：整形で“店の系統に合った顔”にしている子は多いですが、それだけで売れているわけではありません。共通しているのは、接客力・トーク力・雰囲気づくりも含めた総合力。

整形顔は入口で目を引く要素にはなりますが、リピーターを作るのは顔以外のスキル。売れているキャストは、顔＋接客力＋人間性のトータルで魅力を作っているといえます。

ー整形して費用をキャバクラで働いて回収することは現実的に可能ですか？

カワノ：可能です。高額な整形をしても、指名や売上で回収できる子は多いです。もちろん、すぐには元は取れませんが、長期的に見れば投資としては効きますね。

ただ、整形費用に見合う売上を出せるかどうかは、キャストの努力や接客力にも左右されます。逆に、天然美人の子は喋らなくても売れる場合もあります（笑）。

整形なしで美人というのは、キャバクラでも最強のウリになりますね。（カワノアユミ/ライター）