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【AVメーカーSOD・新卒女子社員対談】私たちがアダルト業界で働く理由

ナイトライフ

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久留米あぽろ


これから自分の生きる道を選ぶことができる「新卒就職活動」で、AV業界を選ぶ女性たちはどんな人なのでしょうか。

大手AVメーカー『ソフト・オン・デマンド』では、毎年新卒社員を採用しており、そのうちのだいたい半分は女性なのだといいます。


今回は2020年度新卒入社の宮崎リンさん、中山琴葉さんに、ミレニアム世代の性への価値観を聞きながら、彼女たちがアダルト業界に身を置く理由を聞きました。

多様な働き方が認められる一方で、マイノリティとして扱われる性産業


ーー2人とも新卒でAVメーカーのソフト・オン・デマンドに入社しているんですよね。実際、身の回りの子の反応ってどうでしたか?

宮崎リン(以下、宮崎):私は、在学中からエロに偏見がないということを公言していたこともあって、周りも受け入れてくれる感じでした。「よかったじゃん、がんばりなよ」みたいな。


中山琴葉(以下、中山):リンちゃんはそうだよね〜。私は在学中はAVを見たこともなかったから、自分からは言えなかったんです。こうして働き始めたら、いつの間にか周りにもバレてしまったけど、でも自分が恐れていたような偏見を持つ人は身の回りにはいなくて安心しました。


ーーエロやアダルト業界に対するイメージも、昔よりクリーンになっているんですかね。


宮崎:やはりまだ、よくない印象は残っている感じがします。身の回りの子はわかってくれても、初対面の人には言いづらかったりする。あとは、男の子より女の子の方が、AVやセクシー女優に偏見がある子が多いかも。どうしても下に見られているような印象があります。


中山:私自身、学生時代はエロにまつわるトピックを恥ずかしいものだと思っていたから、そういうイメージを持っちゃう人のことも分かるけど。でも、実際お仕事として触れてみると、本当に面白い業界なんですよ。それが全然伝わらないのは、ちょっとくやしい。


ーーなるほど……。1つの多様性としては受け入れてもらえても、まだマイノリティ的な扱われ方になっちゃうんですね。ちなみに今の若者にとって、エロって身近なものだと思いますか?


中山:女友だち同士だと、恋愛の話の延長線でエッチな話もたくさんするから、みんな興味はあるんだと思うんですけどね。でも、AVを見ているってことを公言している女の子はいなかった。


宮崎:やっぱりいろいろ娯楽が多すぎるから、エロに対する興味が止まらない! みたいな若い子は少なくなってきてるんじゃないでしょうか。でも、すごく興味を持ちやすいものではあると思うから、もっとみんな積極的になってみたらいいのに、とは思います。

女の子にも「エロ」の楽しさ広げたい


ーーそもそも2人は、どうしてアダルトメーカーに就職することを決めたんですか?

宮崎:私は第一志望だったからです。エロにはずっと興味があったし、自分がやりたいことが全部できる会社だったから、っていうシンプルな理由。


中山:私は最後まで、学生時代にバイトしていたアパレル系の会社とどっちにするか悩んだんですが、見たことのない世界が見てみたかったから、挑戦的な意味でこの会社を選びました。


ーーちなみに働いてみて、何か印象が変わったことなどありますか?


宮崎:思ったよりずっとホワイトな会社でしたよ。AVメーカー=ホワイト企業、ではないと思うけど、SODに関してはすごくホワイト。女性でも働きやすいと思います。


中山:わかる! 社員さんも3割くらいは女性だし、むしろ女性もいないとダメな会社だと思うから、もっと女性にも認知されてほしいです。


ーーアダルトメーカーで成し遂げたい目標などありますか?


宮崎:とくに同じ女性の中で、エロに偏見がない世界になっていけるような発信を続けていきたいです。風俗にしろAVにしろ「アダルトの世界で働く女性は不幸」というような偏見がなくなってほしい。


誇りを持ってやっている人もたくさんいるんですよ。この業界にいる女性たちが、もっと尊重されるようにしていきたいです。


中山:社員であり女優でもあるからこそ、私たちの立場っていろんな意見を集約できると思うんです。ユーザー様の意見も、社員としてしっかり受け止めていきたいですけど……私もやっぱり、この業界にいる女性の人権のようなものは、もっとはっきりと世間に伝えていきたいです。


ーー2人とも女性としての誇りを持って、アダルト業界にいるんですね。女性の中には、なかなか課金してAVを見るような人がいなくて、まだまだ娯楽としてのエロが成立していないような感じがありますよね。


宮崎:こんなに楽しいのに(笑)。女性向けAVも数が増えてきているので、そういうものから見てみてほしいです。絶対キュンキュンすると思いますよ。


中山:1人で見るのが気まずいなら、まずは女子会でみんなで見てみるのもいいと思います。みんなで「こういうのされたい〜!」って騒ぎながら見たら、楽しみやすいんじゃないかな。


ーー私も昔、雑誌の『an・an』の付録としてついていた女性向けのAVを女子会で見たことがあったけど、すっごく楽しかった覚えがあります。きっかけがないから、タブーっぽく感じてしまうというのはありそうですよね。


宮崎:まずはエロが「ダメじゃないこと」ということを実感してほしいですね。一度、通してAVを見てみたら分かると思うんですよ。


中山:作品としても面白いものが多いし、映画を見るような感覚で手に取れるものもあるんですよ。


宮崎:だからまずは、若い人にも私たちのことを知ってほしいですね。一般の女性にとって、エロがもっと普遍的な娯楽になっていってほしいし、職業としても、女性にとってマイナスではないということをたくさん発信していきたいです。


中山:うんうん。私、学生時代はエロに偏見ありまくりだったけど、SODに入社してから本当に幸せです。私が生きる証明になっていきたい。

いつだって身近にある「エロ」を、タブー視しない

いつから日本の性産業は、暗く不幸なイメージになってしまったのでしょうか。


義務教育の中でも、家族の中でもタブー化される「エロ」。働き方の多様化は認められていっても、この「タブー感」がなくならない限り、アダルト業界で働く女性たちの生きづらさは、どこかにこびりついたままになってしまいます。

しかし、実際には誇りを持ってその業界で働く女性たちもたくさんいて、そのイメージを払拭するべく、彼女たちは活動を続けているのです。エロは老若男女、男女共通で誰にでも関係があるものです。


こんなにも身近にあるものをタブーとして捉えずに、ただ当たり前のものして捉えることができたら……救われる女性も、たくさんいるのではないでしょうか。(久留米あぽろ/ライター)


(オトナのハウコレ編集部)

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