第3回 ブスの恋愛術
恋愛
PR中村うさぎ
どうせ私はブスだから…、なんて恋することを諦めてしまっている人はいませんか?
確かにルックスは恋のゆくえを左右する重要なポイント。でも、それだけではないのです。シビアだけどある人にとっては必ず救いとなる、うさぎさんらしいセオリーをつづっていただきました。
前を向いて恋をしたい方、必見ですよ!
女はやっぱり「見た目」なの?
人間は顔じゃない、なんて言う人がいるけど、こと恋愛に関して、顔の美醜はモテに大きく影響すると思う。
それはやっぱり、恋愛が「生殖本能」と結びついてる以上、仕方のない事なんじゃないかと私は考えます。
たとえば他の動物だって、メスがオスを選ぶ時、鹿であれば角の見事さ、クジャクならば広げた尾羽根の美しさで「好感度」が決まるわけです。
何故なら、彼らの場合、角や羽根の美しさは、その個体の「健康さ」のバロメータになるから。
病気がちなオスは角や羽根が発達しないので、強くて健康な子どもを産みたいメスは、どうしても「見た目」の立派さに目を奪われる。
おそらく人間も、猿と大差なかった頃は、そういう異性の選び方をしていたことでしょう。
だから、恋愛相手を「見た目」で選びがちな習性は、本能的なものなのだと私は思う。
ただ現代人の場合、メスがオスを選ぶにあたって「経済力」とか「社会的地位」などが「見た目」より優先されるケースがあるので、オスは少々不細工でも金と権力さえあれば何とかなる。
しかし、メスの場合は相変わらず「見た目」重視の本能で選ばれることが多いので、ブスの女は圧倒的に不利になる、というわけです。
うーん、のっけから絶望的な結論でごめんなさい。
だけど「女は顔じゃないよ!」なんて無責任な言葉を真に受けて無駄な期待を抱くくらいなら、恋愛の厳しい現実を知っておいたほうがいいと私は考えます。
「僕は性格の悪い美人より性格のいいブスのほうが好きだな」なんて言う男もいますが、それが本当なら、若くて綺麗なキャバ嬢に入れ揚げて家庭や財産を失う男がこんなに後を絶たないはずがない。
なんだかんだ言って、男はやっぱり美人好きなのです。
では、ブスは永遠に非モテから脱することができないのか?
そんなことはありません。
まず「見た目の美醜」とは「顔立ちの美醜」だけではないからです。
ひと口に「顔の美醜」といっても、そこには二つの要素があります。
「顔立ちの美醜」と「顔つきの美醜」です。
「顔立ち」の方は、目鼻立ちのバランスなど、顔の造作の美醜です。
これはもう、整形でもしない限り、ブスは美人に勝てっこない。
しかし人間は、他人の顔を見る時、「顔立ち」だけで相手を判断しているのではありません。
もうひとつ「顔つき」という要素でも、無意識に相手を値踏みしているのです。
そして、この「顔つき」こそが、内面の美醜(すなわち性格美人や性格ブス)を反映している。
たとえば、顔立ちは整ってるのに、なんとなく好感を持てない人っていませんか?
綺麗な顔なのに、何故か好きになれない顔がある。
その理由を考えてみると、「美人だけど笑うと下品な顔になる」とか「かわいいけど、ちらっと人を見る時の目つきが意地悪そう」とか、顔の造作よりも表情の印象であることが多いのです。
そう、人の顔の美醜は、「顔立ち」だけではなく、ふとした表情などに現れる内面の美醜、すなわち「顔つき」にも大きく左右されているわけですね。
だから逆に、たいして美人でもないのに「笑顔がかわいいね」なんて言われる女の子もいる。
整形しても私がモテなかった理由
私は若い頃から自分の顔が大嫌いで、45歳くらいの時に思いきって美容整形してしまいました。
目も鼻も輪郭も全部改造して、おかげさまで静止画であれば「綺麗」と言っていただけるようにはなりました。
さぁ、これでガンガンにモテちゃうぞ、と思ったのですが、そうはいきませんでしたね。
まぁ、いくら整形しても45歳のおばさんだっていうのもあったけど、それでも美容整形で若返ったおかげで当時は30代くらいには見えたので、この「ちっともモテない」現象にはひどく納得いきませんでした。
でもね、ある日、気づいたんです。
自分が出演しているTV番組をたまたま観た時に、自分が相変わらずブスだってことに気づいたの。
そこで大口開けてガハガハ笑ってる私の顔はちっとも美しくなかったし、誰かに話しかけてる時の私の顔もめちゃくちゃ意地悪そうで、性格の悪さが「顔つき」に100%露呈していました。
なるほど、これじゃモテるわけないよ!
なんだかんだ言って、男だってそこまでバカじゃない。
美人なら何でもいいわけじゃないんだ。
ちゃんと相手の顔つきから内面の情報を受け取っていて、「顔立ち美人」でも「顔つきブス」だと、NGサインが出てしまうのです。
逆に、少々「顔立ちブス」であったとしても、それを補ってあまりあるほどの「顔つき美人」であれば、好感を持ってくれたりもするんですね。
ですから、「女は結局、顔なんでしょ」と絶望している皆さん、確かにそれは一面の真理ではありますが、「顔」には二種類あることをまずは心に刻んでください。
たとえ目鼻立ちが不細工でも、「顔つき美人」になるチャンスは誰にでもある。
なぁに、心から性格美人になる必要なんてないんです。
誰にだって欠点はあるし、醜い部分はある。
ただ、それを表に出さず、完璧な笑顔や目つきや表情で「あ、いい子だな!」と思わせちゃえばいいんですよ。
家に例えるなら、顔は「玄関」です。
玄関が明るくてウェルカムな雰囲気に溢れていれば、男は中に入ってくる。
中に入ってしまえば、奥の居間や台所が多少散らかってても、「ま、いっか」になることも多い。
だけど玄関が暗かったり汚かったりした場合、その奥の居間や台所がいくら綺麗でも、中まで入らず玄関先で帰られちゃったら意味ないでしょ。
男を家の奥に引き入れるためにも、玄関である「顔」は、いつも感じ良く清潔感がなくてはならないのです。
ブスほど己を知らなくてはならない
スタイルのいい美人を見て、心の底から羨ましく感じるのは、「何を着ても似合う」ということです。
少々趣味が悪くても、安物しか着てなくても、それなりに着こなしてしまう。
逆にスタイルの悪いブスは、趣味の悪い服や似合いもしない服を着てると、ますます「ブス度」が上がってしまいます。
不公平ですが、これは仕方のない事実。
だからスタイルのいい美人は、べつに自分に何が似合うかとか、服の趣味が良くないとか、そんなことで悩む必要はありません。
どうせ、何着たってそれなりに見えるのですからね。
むしろスタイルの悪いブスこそ、己を知らなくてはならない。
自分にはどういう服が似合うのか、どんな服をどう着たら見当はずれにならずにすむか、いやむしろ好感すら持ってもらえるか、知恵を振り絞って考えなくてはならないのです。
まず、ブスは奇抜なファッションや個性的なデザイナー物などを着ると、ますます「ブス度」が上がることを承知しておきましょう。
ちなみに私は、ここであくまでも「モテたいブス」のためのアドバイスをしています。
「モテなんか関係ない! 私は自分の好きな服を着るわ!」という人には、「みっともないから、そんなの着るな」などと言うつもりは一切ない。
人は、誰から何を言われようと、自分の着たい服を着る権利があります。
私自身も、すでにモテなど諦めてるので、自分の着たい服しか着ません。
ただ、「モテ」が最重要事項であれば、自分の好みよりも「男の目」を優先する必要がある。
ブスは「悪目立ち」をしてはいけません。
極論すれば「個性的」であってはならないのです。
かといって、地味でコンサバならいいのかというと、必ずしもそうとは言えない。
たとえばお堅い印象のトラッドファッションとか、メンズライクなスーツとか、そういうのは無難ではありますが、ブスにはお勧めできません。
何故なら「女らしさ」の欠けたファッションを着ると、ブスは「女」と認識してもらえないからです。
それでなくてもブスは美人より「女」として見てもらえないので、黒やグレイやベージュばかり着てると、ますます「女感」を感じ取ってもらえません。
適度に柔らかく女らしい印象のパステルカラーを取り入れるとか、派手にならない程度の花柄プリントとか、主張の少ないフリルやレースを控え目にあしらうとか、そういう「そこはかとないフェミニン感」を演出した方が得策です。
ブスは目立たず、沈まず、中道を行く。
これが「ブスの鉄則」だと私は思います。
そのためにも、ブスは「自分がブスである」という自覚を持たなくてはなりません。
ブスの自覚がないと、美人の真似をして悪目立ちしてしまったり、かっこいい女を目指してモノクロファッションになってしまったり、様々な「イタい勘違い」をしてますますブス度を上げてしまうからです。
ブスは「美人」や「かっこいい女」を目指してはいけない。
「かわいい女」を目指すのです。
「かわいい」というのは非常に範囲が広くあいまいな形容詞なので、ブスが参入しやすいジャンルです。
それこそ「ブサかわ」なんて言葉もあるくらいですからね。
「ブス美人」とか「ブスかっこいい」なんて言葉、ないでしょ。
ブスは「かわいい」を目指すべし
顔つきも性格もファッションも、とりあえず「かわいい」を目指していれば大きなミスはありません。
その「かわいい」も、あくまで「無難なかわいさ」です。
メイクも基本的にはナチュラル系、しかし気づかれにくい部分はがっつりと。
たとえば、黒目の比率が高いほどかわいく見えるので、周囲に黒い帯の入ったコンタクトレンズを使用するとか、睫毛エクステはしっかりやっとくとか、そういう部分には気合を入れる。
睫毛エクステや黒目がちコンタクトレンズは、誰にも気づかれない割に効果抜群です。
そして、ダメ押しは「かわいい性格」。
基本的に、男に反論したり敵対したりしてはいけません。
いくらあなたの方が賢くても、言い負かすなんて論外です。
相手が自慢話をしたら目を瞠って「すごーい」と言い、どんなにくだらない話にもうんうんと熱心に相槌を打つ。
男に媚びてる? ええ、そのとおりです。
モテるためなら媚びるくらい当たり前です。
さて、以上が私にアドバイスできる精一杯の「ブスの恋愛術」です。
ちなみに私は、着たい服を我慢することや相手に媚びることがどうしてもできないので、もはや覚悟を決めて「非モテ路線」を突っ走ってます。
それはそれで自由で楽しい生き方ですよ。
どちらを選ぶかは、自分で決めてくださいね。(中村うさぎ/ライター)
(ハウコレ編集部)